Hint & Tips

運送事業法

運行管理者試験_貨物自動車運送事業法_輸送の安全

岡山県で一般貨物自動車運送事業の手続き・コンプライアンスサポートに力を入れている行政書士_久保田勝彦が運行管理者試験(貨物)の受験勉強をサポート致します。

このウェブサイトはわたしが実際に運行管理者試験に合格した経験を、これから受験する方々と共有したいとの思いで公開しています。

この表は運行管理者試験(貨物)過去12回分の貨物自動車運送事業法分野の出題傾向です。

出題分析_貨物自動車運送事業法

この記事では「貨物自動車運送事業分野 輸送の安全」について解説しています。

 

輸送の安全に係る論点

このテーマの出題は、

・輸送の安全

・輸送の安全に係る情報の公表

・貨物の積載

の3つの小テーマから出題されます。問題文では、それぞれの小テーマが混じって出題されるというよりも、3つのうちのいづれかから出題される傾向があります。

 

この3つの小テーマの根拠となるのは

・輸送の安全 貨物自動車運送事業法第17条 貨物自動車運送事業法第22条

・輸送の安全に係る情報の公表 貨物自動車運送事業輸送安全規則第2条の8・貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について(告示)

・貨物の積載 貨物自動車運送事業輸送安全規則第5条・貨物自動車運送事業法第64条

となります。

 

輸送の安全

まず貨物自動車運送事業法第17条(輸送の安全)は穴埋め問題でよく出題されます。穴埋め箇所は大体同じ部分なので、繰り返し過去問を解けば覚えられると思います。また正誤問題で出題されても同じことを問われています。

 

貨物自動車運送事業法第17条は次のとおり。

一般貨物自動車運送事業者は、次に掲げる事項に関し国土交通省令で定める基準を遵守しなければならない。

・事業用自動車の荷役その他の事業用自動車の運転に附帯する作業の状況等に応じて必要となる員数の運転者及びその他の従業員の確保、事業用自動車の運転者がその休憩又は睡眠のために利用することができる施設の整備及び管理、事業用自動車の運転者の適切な勤務時間及び乗務時間の設定その他事業用自動車の運転者の過労運転を防止するために必要な事項

・事業用自動車の定期的な点検及び整備その他事業用自動車の安全性を確保するために必要な事項

・一般貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の運転者が疾病により安全な運転ができないおそれがある状態で事業用自動車を運転することを防止するために必要な医学的知見に基づく措置を講じなければならない。

・一般貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の最大積載量を超える積載をすることとなる運送(以下「過積載による運送」という。)の引受け、過積載による運送を前提とする事業用自動車の運行計画の作成及び事業用自動車の運転者その他の従業員に対する過積載による運送の指示をしてはならない。

・前三項に規定するもののほか、一般貨物自動車運送事業者は、輸送の安全を確保するため、国土交通省令で定める事項を遵守しなければならない。

・事業用自動車の運転者及び運転の補助に従事する従業員は、運行の安全を確保するため、国土交通省令で定める事項を遵守しなければならない。

 

このマーカー部分がよく問われます。

また貨物自動車運送事業法第22条(運行管理者等の義務)の

・一般貨物自動車運送事業者は、運行管理者がその業務として行う助言を尊重しなければならず、事業用自動車の運転者その他の従業員は、運行管理者がその業務として行う指導に従わなければならない。

も頻出ですので、合わせて覚えればよいと思います。

 

Hint & Tips

実際の出題では、特定のテーマだけでなく関連した他のテーマも問題肢に登場します。ですが各テーマを1つずつ学んでおけば十分対応できます。

 

輸送の安全に係る情報の公表

この小テーマで出題されることはあまりないようです。しかし覚えることは少ないので覚えてしまいましょう。

まず輸送安全規則第2条の8です。

 

貨物自動車運送事業輸送安全規則第2条の8

一般貨物自動車運送事業者等は、毎事業年度の経過後100日以内に、輸送の安全に関する基本的な方針その他の輸送の安全に係る情報であって国土交通大臣が告示で定める事項について、インターネットの利用その他の適切な方法により公表しなければならない。

 

この公表しなければならない事項は次の3つになります。

・輸送の安全に関する基本的な事項

・輸送の安全に関する目標及び達成状況

・自動車事故報告規則第2条に規定する事故に関する統計

 

運行管理体制は公表する必要はありません。

 

Hint & Tips

この公表しなければならない事項は運送事業者であれば、「運輸安全マネジメント」として公表しているそれにあたります。

毎事業年度の経過後とあるので、毎年決算月の後に更新する必要があります。

自社HPでも公表している事業所もあるので、運送事業者でない受験者も気長に探せばこれがどういったものか見つけられると思います。

 

試験にはまったく関係がないことですが、運輸安全マネジメントは適正化実施機関による定期的な巡回指導のチェック項目でもありますので、毎年必ず更新しておきましょう。

 

貨物の積載

この小テーマは

・過積載の防止

・積載の状態

・荷主の協力、責任

という当たり前のことが問われます。「規約を覚える」というよりも、問題文を注意深く読んでひっかけに騙されないようにすることが重要です。例えば

 

令和2年度第2回試験 問題8 肢2

事業者は、事業用自動車に貨物を積載するときに偏荷重が生じないように積載するとともに、運搬中に荷崩れ等により事業用自動車から落下することを防止するため、貨物にロープ又はシートを掛けること等必要な措置を講じなけれぱならないとされている。この措置を講じなければならないとされる事業用自動車は、車両総重量が8トン以上又は最大積載量が5トン以上のものに限られる。

 

のように、積載安全措置を講じなければならない事業用自動車を限定していたりします。もちろんこの肢の記述は誤りで、安全措置を講じなければならないのはすべての事業用自動車が対象になります。

 

Hint & Tips

これも試験にはまったく関係ありませんが、過積載は事業用自動車の使用が止められる行政処分対象となっており、その事項は次のとおり。

・過積載運送の引受け、指示等

1  過積載による運送の引受け

2  過積載による運送を前提とした運行計画の作成

3  過積載による運送の指示

・過積載運送防止の指導及び監督の怠慢

・その他輸送の安全を確保するための遵守事項違反

1 貨物の積載方法違反

2 コンテナの落下防止措置未実施

 

ここまでが貨物自動車運送事業法分野で出題される「輸送の安全」になります。

「業務上の知識及び能力分野」での出題については、①日常業務の記録等 ②指導・監督 ③運行管理者の役割等 が出題されます。これらは他の「貨物自動車運送事業法分野」テーマを含むので、別の記事で取り上げます。