Hint & Tips
運行管理者試験_貨物自動車運送事業法_点呼
岡山県で一般貨物自動車運送事業の手続き・コンプライアンスサポートに力を入れている行政書士_久保田勝彦が運行管理者試験(貨物)の受験勉強をサポート致します。
このウェブサイトはわたしが実際に運行管理者試験に合格した経験を、これから受験する方々と共有したいとの思いで公開しています。
この表は運行管理者試験(貨物)過去12回分の貨物自動車運送事業法分野とその他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力分野の出題傾向です。
この記事では貨物自動車運送事業法「点呼」について解説しています。
今回のテーマ:点呼は貨物自動車運送事業法では必ず出題されているテーマなので得点戦略上の要でもあります。試験問題では第4問目に出題されています。
また本分野だけでなく「実務上の知識及び能力」分野でも出題されますので、最後にこちらのほうにも軽く触れておきます。
実際の実務でも重要項目ですので頑張って押さえていきましょう。
近年の試験出題傾向では、安全性優良事業所(Gマーク営業所)が行うことができるIT点呼についても肢として出題されることが増えてきています。こちらは余裕があれば押さえたい所でもあります。
点呼の種類
点呼の種類は①乗務前点呼 ②乗務後点呼 ③中間点呼 ④IT点呼 があります。
乗務前点呼とは、乗務を開始しようとする運転者に対面で行います。
乗務後点検とは、乗務を終了した運転者に対面で行います。
中間点呼とは、「対面で乗務前点呼と乗務後点呼をいずれも行うことができない乗務」を行う運転者に対し、乗務前・乗務後点呼のほかに、少なくとも1回電話その他の方法により行います。一般的には2泊以上の運行から行うことになります。
IT点呼とは、Gマーク営業所において国土交通大臣が定めた機器を用いて行います。対面でなくてもよいメリットがあります。
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中間点呼の「その他の方法」とは、携帯電話、業務無線等により運転者と直接対話できるものでなければならず、電子メール、FAX等一方的な連絡方法は、該当しない。
点呼の確認・報告の求めの事項
それぞれに報告・確認の事項があるのでこれを押さえましょう。平成29年度3月試験 第4問の解答を覚えてしまうのが手軽です。
平成29年度3月試験 第4問
乗務前点呼
(1)酒気帯びの有無
(2)疾病、疲労その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無
(3)道路運送⾞両法の規定による点検の実施⼜はその確認
乗務後点呼
(1)乗務に係る事業⽤⾃動⾞、道路及び運⾏の状況
(2)他の運転者と交替した場合にあっては法令の規定による通告
(3)酒気帯びの有無
中間点呼
(1)酒気帯びの有無
(2)疾病、疲労その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無
どの点呼にも共通するのは酒気帯びの有無です。
乗務前点呼と中間点呼では、安全運転をすることができないおそれの有無です。
あとは・乗務前点呼の日常点検の実施と確認、・乗務後点呼の乗務に関する報告になります。
酒気帯びの確認は、必ず営業所に備えられたアルコール検知器を用いなければなりません。
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貨物自動車運送事業法に係る記述では、ここまでが出題範囲になります。けれども冒頭でお伝えしているとおり、実務上の知識及び能力でも出題されますので一気に点呼の知識を学ぶ方が効率は良いでしょう。
ここからは実務上の知識及び能力分野で出題される点呼について触れておきます。
点呼は対面で行うこと
大原則として乗務前・乗務後点呼は必ず対面で行わなければなりません(ただしIT点呼は除く)。
運行管理者(補助者)や運転者の勤務時間によっては時間が合わないこともあるけれども、この場合は運行上やむを得ない理由には含まれないので、対面点呼をしないことは認められていません。
Hint & Tips
「運行上やむを得ない場合」とは、遠隔地で乗務が開始又は終了するため、乗務前点呼又は乗務後点呼を当該運転者が所属する営業所において対面で実施できない場合等をいい、車庫と営業所が離れている場合及び早朝・深夜等において点 呼執行者が営業所に出勤していない場合等は「運行上やむを得ない場合」には該当しない。
アルコール検知器について
アルコール検知器を使⽤するのは、⾝体に保有している酒気帯びの有無を確認するためです。そのため呼気1リットルあたりのアルコール濃度は0.00ミリグラムでなければなりません。
道路交通法では0.15ミリグラムまでを認めていますが、事業用車両の運転者にはこれを認めていません。これはひっかけ問題で出題されます。
Hint & Tips
「酒気を帯びた状態」とは、道路交通法施行令第44条の3に規定する呼気中のアルコール濃度0.15mg/ℓ以上であるか否かを問わないものである。
運行管理者による点呼の総回数
点呼資格者は選任された運行管理者と、運行管理者基礎講習を受講した補助者になります。そして点呼の実施回数について、運行管理者は点呼総回数のうち3分の1以上を自ら行わなければなりません。(補助者は点呼総回数の3分の2まで行うことができる)
試験問題では補助者の点呼割合について「運行管理者が不在の時の点呼総回数が〇割を超えていることから、その時間帯における点呼については、事業者が選任した複数の運⾏管理者の補助者に実施させている」という正誤問題が出題されます。
補助者が行えるのは3分の2つまり6割6分6厘までなので、6割では〇だけど7割では×になります。
点呼の工夫
実務上の工夫が出題されることもあります。これは運転免許証の有効期限を確認する方法や、運転者の持病の把握・健康管理についても出題されることもあります。
また実務面でやってしまいがちなこと、例えば異常がないなら報告を求めないとか天候面や健康面での非常事態について指示を運転者に丸投げしてしまう等を戒める問題肢も出題されます。