Hint & Tips
運行管理者試験_貨物自動車運送事業法_事故の報告
岡山県で一般貨物自動車運送事業の手続き・コンプライアンスサポートに力を入れている行政書士_久保田勝彦が運行管理者試験(貨物)の受験勉強をサポート致します。
このウェブサイトはわたしが実際に運行管理者試験に合格した経験を、これから受験する方々と共有したいとの思いで公開しています。
この表は運行管理者試験(貨物)過去12回分の貨物自動車運送事業法分野とその他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力分野の出題傾向です。
この記事では「貨物自動車運送事業_事故の報告」について解説しています。
今回のテーマ:事故の報告は点呼と同じく貨物自動車運送事業法では必ず出題されているテーマで試験問題では第5問目に出題されています。得点戦略上の要でもありますが、このテーマは覚えることが多く勉強コストは高めとなっています。
これも実際の実務でも重要項目ですので頑張って押さえていきましょう。
事故の報告の手続き
一般貨物自動車運送事業者は国土交通省令で定められた事故を引き起こしたときは、事故があった日から30日以内に当該車両の使用の本拠地を管轄する運輸監理部長または運輸支局長へ届出なければなりません。
加えて、国土交通省令で定められた重大事故を引き起こしたときは、電話、FAX、その他適切な方法により24時間以内においてできる限り速やかに、当該車両の使用の本拠地を管轄する運輸監理部長または運輸支局長へ速報をしなければなりません。
つまり事故報告の手続きの流れは①速報が必要であれば24時間以内に速報を入れる → ②事故があった日から30日以内に事故報告届を届出する というものになります。
試験問題でも速報しなければいけない事故なのか? 事故報告届出が必要な事故なのか? が問われます。
速報が必要な事故とは
・死傷事故
① 2人以上の死者を生じたもの
② 5人以上の重傷者を生じたもの
③ 10人以上の負傷者を生じたもの
・自動車が転覆or転落or火災を起こしor鉄道車両、自動車その他の物件と衝突若しくは接触したことによる積載物の漏えい
・酒気帯び運転
以上になります。
死傷事故の重傷者と負傷者の違いは後述します。
「積載物の漏えい」についていろいろ前置きがありますが、ただ漏えいしただけでは速報は必要ありません。漏えいに至った別の理由がある場合に限ります。
速報を入れるのは、これら重大事故を引き起こしたときは電話、FAX、その他適切な方法により24時間以内においてできる限り速やかに、当該車両の使用の本拠地を管轄する運輸監理部長または運輸支局長へ速報をしなければなりません。
また速報を入れたからといって、事故の報告を省略することはできません。
Hint & Tips
試験では問題文を読んでください。速報を要するものを問われているのか? 事故報告が必要な事故を問われているのか? これを確認するだけでも論点が整理できるはずです。
報告が必要な事故とは
・転覆事故 道路上において路面から35度以上傾斜したもの
・転落事故 自動車が落差0.5m以上、道路外に転落したもの
・火災事故 自動車または積載物が火災したもの
・鉄道事故 鉄道車両と衝突または接触したもの
・鉄道傷害事故 鉄道施設を損傷し、3時間以上、運転を休止させたもの
・高速道路傷害事故 高速道または自動車専用道路を3時間以上、通行を禁止させたもの
・衝突事故 10台以上の自動車を衝突または接触を生じたもの
・死傷事故 死者または重傷者を生じたもの
・負傷事故 10人以上の負傷者を生じたもの
・積載物漏えい事故 積載されている危険物・火薬類・高圧ガス等の全部もしくは一部が飛散し、または漏えいしたもの
・落下事故 自動車に積載されたコンテナが落下したもの
・運行不能事故 ①運転者が病気により運転を継続することができなくなったもの ②自動車の故障により運行ができなくなったもの
・車輪脱落事故 車輪の脱落、被けん引自動車の分離を生じたもの
・救護義務違反
・その他
これらの事故を引き起こしたときは、事故があった日から30日以内に当該車両の使用の本拠地を管轄する運輸監理部長または運輸支局長へ届出なければなりません。
重傷者とは
重傷者の定義は自賠責施行令というものに定められていて、その中には負傷した箇所によっても重傷者となることもあるのですが、運行管理者試験で過去12回に出題された範囲では
・入院 + 30日以上の通院
というパターンしかありませんでした。
入院がなければ、40日通院しても重傷者ではありません。
「通院」という言葉が出てきたら「入院」の有無で重傷者か否か、判断できると思います。
運行管理者試験では「重傷者か判別できるかどうか」がポイントになります。
問題の解き方
まず問題文は速報の要件or事故報告の要件どちらを問うているのか確認する。
速報の場合
①死傷者を数える 死者は2人以上か? 重傷者は5人以上か? 負傷者の合計は10人以上か?
②転覆や接触によって積載物が漏えいしたか?
③飲酒運転をしていないか?
該当するものがあれば必要になる。
事故報告の場合
①転覆の場合、自動車は35度以上傾いたか? ※横転は90度
②0.5m以上の高さから落下したか?
③火災を起こしたか?
④鉄道と接触したか?
⑤鉄道or高速道を3時間以上止めたか?
⑥10台以上の車が関係したか?
⑦10人以上の負傷者が出たか?
⑧1人でも死者または入院が必要な負傷者が出たか?
⑨積載物が漏えいしたり落下したりしたか?
⑩乗務途中で運行が続行不能になったか?
⑪脱輪や、被けん引車が分離したか?
覚えることが多いですが簡略化するとこのように整理できます。試験対策ではこの程度で十分と思いますが、完璧を目指すならお手持ちのテキストを読んでより深い理解をすることをお勧めします。